初めてのパスポート(1)


1970年、新宿の小さな旅行代理店でパスポートを申請し、
19歳で人生初めての海外旅行で沖縄と台湾へ渡った。

若い人の中には、沖縄へ行くのになぜパスポートが
必要なのだろうと思う人もいるかもしれない。
しかし当時は、沖縄はアメリカ軍の統治下となっており、
沖縄へ行くにもパスポートが必要だったのだ。

そして、沖縄は1972年にアメリカから返還される事が決まっており、
米軍統治下の沖縄の様子を自分の肌で感じたいという気持ちと、
終戦前、米軍との最後の戦いで悲惨な戦場となり、
沖縄で生活する多くの非戦闘員が集団自決した地を
自分の眼で見ておきたいとの思いを抱き、
船で大阪港から那覇港へ渡ることにしたのだ。

当時の世界情勢としてベトナム戦争下であり、
また日本では1970年安保闘争や東大安田講堂闘争から
多くの学生が反米感情を抱いている頃であった。
(ちなみに当時の東京大学は学生闘争のために大学が封鎖され、
私の年次の受験生は東京大学の入試を受けられなかった。)
私はアメリカへの憧れを抱きつつも、それでも
多くの学生と同様にアンチ米国のスタンスだったので、
沖縄の悲惨な戦争体験を肌で感じ、
言いようのない怒りが沸沸と湧いてきたのを鮮明に覚えている。

今年の夏、戦後から75年目を迎え、
まもなく沖縄返還から50年の節目を迎えるが、
すべての沖縄の人が幸せに暮らせる未来を願っています。

医療法人社団 映寿会
社会福祉法人 中央福祉会

理事長 北元 喜洋